ドルフィンズとアリゾナカージナルスの対戦は、ドルフィンズのトゥア・タゴバイロアとカージナルスのカイラー・マレーという若いQB同士の対決となりました。試合は点の取り合いとなりましたが、最後はキッカーの差が試合の勝敗を分けた形となりました。しかし、ドルフィンズにとっては特にオフェンスにおいて今後に大きな期待を抱かせる内容だったと思います。
NFL2戦目の先発となったタゴバイロアですが、前回の対ロサンゼルスラムズ戦の内容から今回のカージナルス相手にも相当な苦戦を強いられると見られていたと思います。実際にラムズ戦の後には、もしタゴバイロアが使えなければドルフィンズは来年のドラフト指名権でQBを指名できるように、今シーズン残りの試合でタゴバイロアをテストするという報道までされていました。
ただ、HCブライアン・フローレスはそれをはっきりと否定していました。そしてこのカージナルス戦を終えて、もうタゴバイロアに対してそのような報道はありえないことでしょう。個人的にも新人なので今後もかなり苦労するだろうと思っていましたが、その不安も払拭してくれるような素晴らしいパフォーマンスだったと思います。
タゴバイロアはこの試合でパス28回投中20回成功で248ヤードを獲得、2TDパスでインターセプトはなし、QBレイティングは122.3でした。新人らしさでしょうかよくないパスもいくつかありましたし、カージナルスのマレーよりはパフォーマンスは劣っていました。しかし何よりもチームを勝利に導くリーダーシップを発揮しています。
そしてこの試合の大きなポイントだったのが第3Qから第4Qにかけてのパフォーマンスでした。第3Qにカージナルスに立て続けにTDを奪われて逆転された直後のオフェンスの場面ですが、自陣7ヤード地点からという苦しい状況でした。もしそのオフェンスをカージナルスに抑えられてしまうと試合の流れが一気にカージナルス側に傾いていたと思います。
しかしタゴバイロアは4本のパスをすべて成功させるとともに2度のスクランブルでボールを進め、最後はWRマック・ホリンズに11ヤードTDパスを決めて同点に追いつきました。ホリンズへのパスはキャッチしたホリンズも素晴らしかったですが、投げたタゴバイロアも素晴らしかったと思います。普通エンドゾーン内でTDパスを狙うならデバンテ・パーカーかマイク・ガセキといった選手を狙うところでしょうがあえてホリンズを狙った、デザインされたプレーだったかもしれませんがそれができる能力をタゴバイロアは備えているということでしょう。
新人なのでこの先常に同様なパフォーマンスができるということはないかもしれませんが、パスの正確性などを見るとやはり騒がれてNFL入りしたほどの選手だということが証明されたと思います。今後の試合も期待できますし楽しみになってきました。
あとディフェンスはいきなりマレーからQBサックを奪ってファンブルリターンTDを決めましたが、その後はマレーのオフェンスを止められませんでした。やはりモバイルQBには苦戦しますね。それとCBザビアン・ハワードがパスンターフェアの反則を連発していましたが、審判の判定もちょっと厳しかったですしハワードは気の毒だったと思います。
この試合といい先週のラムズ戦といい、いずれも戦前の予想ではドルフィンズの不利が伝えられていたんですが、いずれも力強い勝利でした。それほどチーム力が上がってきているということでしょうね。特に今シーズンのカージナルスは実力があると思いますが、それに打ち勝ったという印象を受けた試合でした。
それと称賛されるべきはKジェイソン・サンダースですね。この試合で決めたFG2本はいずれも50ヤード以上でしたが、それ加えてこれで昨シーズンから通算して20回連続でFGを成功させるというチーム新記録を達成しています。サンダースはプロボウル級の選手と言っても過言ではないと思います。
この試合、ドルフィンズは5人のアシスタントコーチを欠いて試合に望みましたが、それでも強豪相手に勝利を飾ることができています。過小評価されているドルフィンズですが、この強さは本物ではないでしょうか。
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