ドルフィンズの2020年レギュラーシーズン最終戦はすでにAFC東地区優勝を決めているバッファロービルズでした。勝てば2016年シーズン以来のプレーオフ進出が決定するドルフィンズでしたが結果は56−26の惨敗、プレーオフ進出を争っているボルチモアレイブンズ、クリーブランドブラウンズ、インディアナポリスコルツがすべて勝利したため、ドルフィンズの2020年シーズンが終了しました。
勝つのは難しいかなと思っていたんですが、まさかこんなに一方的にやられるとは思いませんでした。試合開始直後にインターセプトでターンオーバーを奪ったんですが、結局最後まで試合の流れを引き寄せられませんでした。
試合展開から考えるとドルフィンズが前半でTDを奪えなかったこと、前半終了間際にビルズにTDを奪われたこと、そして後半開始直後にTDを奪って13−28と追い上げた直後にQBトゥア・タゴバイロアがインターセプトリターンTDを献上したことが大きなポイントで、それ以降はもう集中力も切れてしまいましたね。NFLトップランクのディフェンスも肝心なところで抑えきれませんでした。
タゴバイロアのプレーに注目だったんですが、結果はパス58回投中35回成功で361ヤード、1TDパスに3インターセプトでQBレイティングは62.5という惨憺たるものでした。これでいろいろなところからタゴバイロアに見切りをつけて来年のドラフトでQBを指名せよ、という声が高まってきています。
同期でタゴバイロアよりもドラフト指名順が低かったロサンゼルスチャージャースのジャスティン・ハーバートが好成績を残しているので余計にそういう声が上がるのは理解できますし、仕方のないところだと思います。
ただ、確かにタゴバイロアのプレー内容はよくなかったんですが、まだ彼は新人なんですね。それに今シーズンはオフシーズンのチーム練習やトレーニングキャンプ、そしてプレシーズンゲームもなく練習量としては不十分でした。それに加えてドルフィンズのフェンスにはタレントが不足しており、特にランプレーの欠如、レシーバー陣の総崩れなど決して恵まれた状況ではありませんでした。この試合でもレシーバー陣の落球が数多くあり、それがタゴバイロアの足を引っ張ってしまったこともあります。
それとタゴバイロア自身についてもパスが不安定でレシーバー陣との息があっていないところも見受けられましたが、これは明らかに練習不足が影響しています。あとはオフェンスにリズムが作れないですね。だからリズムを作るためにプレーコールも短いパスを多用したりノーハドルでプレーさせたりしていますが、今ひとつ効果が上がらないのはプロのディフェンスに対する経験不足とタレント不足によるところだと思います。
オフェンシブコーディネーターのチャン・ゲイリーがかなり叩かれているようですが、やはり限界があるんでしょうね。オフェンスのリズムを作るにはランプレーが不可欠なんですがそれが出ないところが苦しいですね。それを補うだけの技術がタゴバイロアにはまだないということもありますから。
しかし個人的にはまだ失格の烙印を押すのは当然早すぎると思います。才能はあると思うので実力のあるスピードのあるレシーバーとコンスタントに走れるRBが加わるとまったく違ってくるでしょう。そのあたりはこれからGMクリス・グリアーが考えることですが、オフェンスのタレントが揃えば一気に覚醒することも不可能ではないでしょう。
この試合の対戦相手だったQBジョシュ・アレンの1年目は今のタゴバイロアよりももっと内容は悪く、苦し紛れに走ってばかりいる印象でした。それが3年目の今年は急成長しています。その成長の影にはいいレシーバーの存在があります。したがってタゴバイロアもこれからよくなる可能性は十分にあるでしょう。
タゴバイロアにとっては本当に大きなプレッシャーの下で長い試合だったでしょうが、これだけ完膚なきまでに叩きのめされてかえってよかったのではないでしょうか。これが中途半端な内容で終わってしまうと来シーズンにつながらないと思います。タゴバイロアにはこれからしっかりと練習を積んで来シーズンに備えてもらいたいと思います。
結局ドルフィンズはプレーオフ進出を逃したわけで、負け方も印象としてはよくなかったんですが、今シーズンは本当に我々ファンを楽しませてくれました。この試合でも2つインターセプトを記録して連続試合ターンオーバー奪取も22試合で継続中となっていますが、ディフェンスは本当に強くなりました。そして何よりも10勝6敗という素晴らしい成績でシーズンを終えています。
シーズン開始前は勝率5割ならば御の字だとも言われていたんですが、それを上回る好成績でした。しかも1勝3敗から10勝6敗まで成績を伸ばしたんですから素晴らしかったと思います。プレーオフには進出できませんでしたが、堂々と胸を張れる結果だと思います。これもHCブライアン・フローレスをはじめコーチ陣や選手が一丸となって戦った結果だったのではないでしょうか。
来シーズンのドルフィンズにもいろいろな面で期待しています。来シーズンこそはプレーオフ進出、そしてその先に上り詰められれば言うことはありませんが、それを予感させるものはあるのではないでしょうか。今度は強いオフェンスを作ってもらいたいですね。
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