今シーズンのサーズデーナイトゲーム、ドルフィンズは地元マイアミでボルチモアレイブンズと対戦しました。今シーズンの成績及び過去の対戦成績からレイブンズが圧倒的に有利とされていて、戦前の予想でもドルフィンズの勝利を予想した人は誰もいなかったと思います。
しかしいざ蓋を開けてみればドルフィンズのディフェンスがQBラマー・ジャクソン率いるレイブンズのオフェンスを終始圧倒する展開で、22−10で勝利しました。ドルフィンズはレイブンズから2つのターンオーバーを奪い、第4QまでTDを許さないなど今シーズン最高のディフェンスの活躍で苦手としていたレイブンズに勝利しました。
この試合では先発QBのジャコビー・ブリセットが途中で怪我をしてトゥア・タゴバイロアに交代したんですが、そんなオフェンスの話題もディフェンスの素晴らしさで薄れてしまったようでした。特にパスラッシュが凄くて、Sジャボン・ホランドのセーフティブリッツが面白いように決まっていました。その結果ジャクソンから計4つのQBサックと1つのインターセプトを奪いました。またジャクソンのもう1つの武器である足も封じ、9キャリーで39ヤード獲得に止めました。
3rdダウン時のディフェンスでは14回中2回しか1stダウンを更新させず、レイブンズに8回もパントを蹴らせるという素晴らしい内容でした。第4QにTDを許したんですが、これも不可解な反則判定でボールを進められた結果で、実質的にはTDを許さなかったと同じだと思っています。それほどこの試合でのドルフィンズのディフェンスは凄まじかったです。
これまでの試合では前半はよくてもオフェンスがもたもたしている間に持ちこたえられなくて肝心なところで抑えきれないディフェンスだったんですが、この試合では最後までジャクソンにプレッシャーをかけ続けていました。これはジャクソンとレイブンズのオフェンスを相当研究して試合に臨んだ結果だったと思いますが、この試合のようなディフェンスを継続することができれば残りの試合でもかなりの勝利が期待できると思います。
今シーズンのNFLではブリッツをしないディフェンスというのがトレンドのようで、そういう意味でドルフィンズも昨シーズンほどブリッツを多用していませんでした。その結果が2勝7敗という成績に終わっていた要因だったのかと推察されますが、この試合に向けては本来のブリッツ多用の戦術展開をして、それが見事にはまったということでしょうね。
それにしてもこの勝利の立役者の1人であるホランドですが、新人ながらすでにプロボウルレベルの活躍をしています。ドラフトされた当時は確かあまり評判はよくなかったように思えました。昨年はオプトアウトでプレーをしておらず、そのあたりが低評価となっていたと思います。しかし今やドルフィンズだけでなくNFL全体でもトップクラスの新人選手となっています。ホランドと2年目のSブランドン・ジョーンズのセーフティーコンビはかつてドルフィンズで活躍したCBタンデム、サム・マディソンとパトリック・サーティンを彷彿させるまで成長してくれることを期待しています。
それに対してオフェンスの方ですが、相変わらず低調でエンドゾーン手前まで攻め込んでも詰めが甘くてTDに結びつかないという展開で、この試合も結局後半に逆転されるだろうと思わずにはいられませんでした。
QBがブリセットからタゴバイロアに代わったことが試合展開に影響したかどうか、あのままブリセットが怪我をしなければどうなっていたかというのはわかりません。ただブリセットもタゴバイロアもいいプレーがいくつかありました。相変わらずオフェンシブラインは酷いんですが、それでも勝利に結びついたというのは明るい材料だと思います。今シーズン最高のビッグプレーが2回もありましたし。
しかしそのオフェンシブラインにも目立たないんですが、いいプレーというかチームを救ったプレーがありました。第4QにドルフィンズがCBザビアン・ハワードのファンブルリカバーTDで15−3とリードを広げた後のドルフィンズの攻撃で自陣40ヤード付近でタゴバイロアがQBサックを受けてファンブルしたんですが、そのボールをLTライアム・アイケンバーグがリカバーしてターンオーバーを逃れました。付近にはレイブンズの選手が3人いたんですが、アイケンバーグが飛び込んでいってボールを確保しました。このとき、もしもレイブンズ側にリカバーされて得点されていたら、もしかしたらその後の展開で流れが変わって逆転されていたかもしれません。それを防いだというのは個人的には大きなプレーだったと思いました。
ところで、タゴバイロアは本来だとまだ完全に試合に出場できる状態ではなかったと思いますが、それでもパス13回投中8回を成功させて158ヤードを獲得してQBスニークによるTDランも決めています。QBレイティングは104でこの試合でプレーしたQBで最高のものでした。ただ試合中にも骨折している左手の指を痛めたようで、さらに悪化していないかが心配です。
レシーバー陣はデバンテ・パーカーが欠場、ウィル・フラーも復帰できない、そしてマイク・ガセキに1本もパスが通らないという状況だったんですが、アルバート・ウイルソンとアイザイア・フォードという今まで目立たなかった選手が活躍してくれました。また新人のジェイレン・ワドルもいつもどおりの活躍で勝利に貢献しています。主役が活躍できない中で脇役がよくやってくれたと思います。
それにしても改めて振り返ってみると、この試合でQBがタゴバイロアに代わった後で何かチームに勢いがついたように感じました。タゴバイロアのプレーは不安定だったし、ブリセットも怪我をしたとはいえ再出場できる状態だったと思います。それでもタゴバイロアをリスクを犯して起用し続けたのは、チームにとっても結果としてよかったし、タゴバイロア本人にとっても何か自信となったと思うので、HCブライアン・フローレスの好判断だったのではないでしょうか。
ドルフィンズは今シーズン初の連勝で3勝7敗となりました。残り試合は7試合ですが比較的成績の劣るチームとの対戦が多いので、この勢いを持続できればプレーオフは無理としても残り試合を勝ち越すことはできるのではないでしょうか。次の試合まで少し余裕がありますのでタゴバイロアをはじめ怪我をしている選手の回復が見込まれますし、楽しみになってきました。
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