ドルフィンズは2022年シーズンに向けて新しいコーチングスタッフを公式に発表しました。
この中で注目の人事ですが、まずQBコーチ兼パッシングゲームコーディネーターにダレル・ベベルを登用しました。ベベルは2021年シーズンはジャクソンビルジャガーズでオフェンシブコーディネーターを務めるなどNFLで通算21年のコーチキャリアがあり、特に2011〜17年シーズンまではシアトルシーホースでオフェンシブコーディネーターを務めQBラッセル・ウイルソンを中心としたオフェンスで手腕を発揮しました。
シーホークスは2014年の第48回スーパーボウルを制覇、そしてその翌年の第49回スーパーボウルにも進出しました。そのスーパーボウルも勝利目前だったんですが、記憶されている方もいらっしゃると思いますが、最後にウイルソンのパスがインターセプトされて勝利を逃しています。
その場面、相手はニューイングランドペイトリオッツでしたが、24-28でペイトリオッツリードの第4Q残り試合時間20秒で、シーホークスはペイトリオッツ陣内1ヤード地点までボールを進めて逆転勝利が目前でした。そこでベベルはそのシーズン大活躍したRBマーション・リンチのランプレーではなくてパスプレーを選択したんですが、まさかの結果となってしまいました。
その試合は私もテレビで観戦していましたが、意外な幕切れに唖然としたことを覚えています。裏をかいたつもりのパスプレーだったのですが、まったく不運としか言いようがないです。わずか1ヤードだったので普通にランプレーをやっていればと思いましたし、パスプレーを予測した人はほぼいなかったと思います。ただ、結果論ですから仕方ないですね。
そのベベルとHCマイク・マクダニエル、そしてオフェンシブコーディネーターのフランク・スミスなどがいい連携をとってQBトゥア・タゴバイロアを中心としたオフェンスを向上させてもらいたいです。プレーコールはマクダニエルが行うようですので、ベベルはタゴバイロアの指導に専念するということになるでしょうかね。
あとは元ドルフィンズの選手だった3人、ウェス・ウェルカー、サム・マディソン、パトリック・サーティンがアシスタントコーチとして帰ってきました。
ウェルカーはドルフィンズ時代は主にスペシャルチームの選手として活躍していたんですが、2007年にペイトリオッツに移籍してからWRとして覚醒、オールプロやプロボウルにも選出される選手となりました。ただ、これはペイトリオッツにトム・ブレイディというQBがいたからこそでしょうけどね。コーチとしては過去3年間サンフランシスコ49ersでWRを務め、特に2021年シーズンはWRディーボ・サムエルの成長に関わっています。
マディソンとサーティンはドルフィンズ時代にはNFLトップクラスのCBタンデムとして素晴らしい成績を残しています。マディソンはCBコーチ兼パスゲームスペシャリストとして、サーティンはディフェンシブアシスタントとして登用されています。マディソンは過去3年間カンサスシティチーフスでCB兼DBコーチを務めていました。またサーティンはNFLでのコーチ経験はないんですが、過去6年間フロリダのハイスクールでヘッドコーチを務めていたということです。
それとディフェンシブコーディネーターはジョシュ・ボイヤーが留任となりました。基本的なディフェンススタイルは大きな変化はなくそれはそれでいいんですが、気がかりなのは2021年シーズン後半のディフェンスが維持できるかということです。
昨シーズン、7連敗した後にディフェンスのプレーコールをHCブライアン・フローレスがやるようになり、それをきっかけに7連勝したと言われています。シーズン前半のプレーコールはボイヤーだったということで、必ずしもボイヤーのプレーコールが上手くいっていなかったとも考えられます。
そこのところの反省と修正をしっかりと考えていかないとむしろディフェンスが低下していくという懸念も生じます。そこは新たに加わったコーチ陣とも連携を取って引き続き質の高い、相手チームに恐れられるディフェンスを構築してもらいたいと思います。
そして個人的に最も期待したいのはOLコーチのマット・アップルバームです。NFLでのコーチ経験はあまりないのですが、過去2年間ボストンカレッジで同職を務めオフェンシブラインの向上に貢献しています。
近年のドルフィンズはオフェンシブラインが安定せず、それがオフェンスの低下に結びついているところがあります。そこをどのように改善していくのかが問われるでしょうし、オフェンスラインがよくならないとマクダニエルのオフェンスも上手く機能しないのではないでしょうか。もちろん、コーチの力量だけではなく、現有戦力では限界もありますので、FA等での補強も必要でしょうね。
Comments